遠く来て

Tsuchida-Coming-SSA-Cover-JP女声合唱とピアノのための「記憶する水」は新川和江氏の詩集「記憶する水」より、「遠く来て」「記憶する水」の2つの詩をテキストとして拝借し、詩の持つ繊細且つ、幻想的な世界観を表現するため、1つの詩からそれぞれ2曲を作曲、「遠く来て」「あたたかな土」「水には記憶する能力がある」「二つの水は 韻き合う」の計4曲から構成されることとなりました。その第1曲が「遠く来て」となります。

「遠く来て」では、冒頭から緩やかに続くハーモニーの広がりに、語りや口笛、ピアノの即興が加わることで、「水」を媒介とした心象を描き出します。その後、鋭い言葉のフレーズと短い楽節の繋がりが生み出す推進力のある音楽、抒情性に満ちた無伴奏セクションを経て、曲はクライマックスへと向かいます。作品の後半部分において重要な素材となる「火」をデフォルメするかのような、ヴォカリーズとピアニズムの畳み掛けの後、結論を静かに語りかけ、曲は閉じられます。様々な場面を描き出す中で、各楽節の連なりが生み出す、明確な音楽の方向性が感じられます。

埼玉県立浦和第一女子高等学校音楽部の委嘱により作曲、2015年3月28日、同校音楽部の第47回演奏会にて、現役生、OGの合同演奏によって全曲初演されました。